◆Fire! Orchestraの話
いやー今月聴いた新譜が当たりばっかりで忙しいです。ストロークスのアルバムも良かったしね!
でもまずは、スウェーデンのフリージャズユニットFire!がビッグバンド化した怪物のような作品、Fire! Orchestra「Exit」が無茶苦茶に良かったのでちょっと書きます。

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Fire!はMats Gustafsson, Johan Berthling, Andreas Werliinという3人がやっているトリオだそうですが、Fire!名義のほか、ジム・オルークなんかともコラボして連名のアルバムを出したこともあったそう。ちなみにこのMats Gustafssonは僕が去年の年間ベスト10位(参考:http://blog.livedoor.jp/lawoftreaties/archives/21800138.html)に選んだThe Thingにも参加しているサキソフォニストとのこと。

 
このオルーク参加作「Unreleased?」はミュージック・マガジン誌の2011年ベスト・ジャズアルバムに選ばれたらしいので、現代のジャズを追っている人ならきっと知ってる名前なのでしょう。僕は全然知りませんでしたけど。

で、今回紹介するのは、そのFire!の3人に、なんと28名ものメンバーが加わり、さらに混沌とした音楽性へと進化。「Fire! Orchestra」名義でのリリースとなりました。参加メンバーの面々はこちらのサイト(http://d.hatena.ne.jp/joefree/20130223/1361611036)などで紹介されていますが、僕はジャズミュージシャンには明るくないので詳細な言及は避けます。

で、こんな感じになっています。

便宜上トラックは2つに別れていて、一応これが「前半」ですけど、このような区別は殆ど意味をなしていません。こんな感じの演奏が45分続く濃密なアルバムです。

フリージャズと言えば昨年もNeneh CherryとThe Thingのタッグが素晴らしいアルバムを提供してくれたけど、あれはカバー曲を中心に非常にポップに聴ける作品でした。対して、本作にはポップに切り取れる部分はどこにもありません。
僕はこれを聴いて、ジャズというよりは真っ先にノー・ウェーブの息吹を感じたし、去年のスワンズのアルバムを思い出さずにはいられませんでした。そういう意味では、スワンズの「The Seer」に対して「良いけど長過ぎ」という感想を抱いた人にはぜひオススメしたいところではあるけど、スワンズより聴きやすいかと言えば全くそんなことはないんだよなぁ。特に最後の7分くらいは不協和音とMariam Wallentinのあまりにもどギツイボーカルのせいで何度も再生を止めたくなります。


でも結局最後まで聴いちゃうのは、フリージャズとはいえ決して無秩序な演奏ではなくて、冒頭から不穏な三拍子が延々と続く中で目まぐるしく上物が入れ替わりながらも、単なる「音」ではなく「音楽」として聴かせてくれる、よく構成されたアルバムだからだと思います。極めて西洋的で、冷たいジャズとポストロックの響きです。Mariamのボーカルはもはや冗談みたいで思わず笑ってしまうけど、これもこのアルバムのかけがえの無い個性。

今年ここまで最も耳に障る音楽の一つで、かなり奇天烈なアルバムですけど、傑作です。



オルークとのコラボ作、mp3だとすんごく安いなー。買っちゃおうかな。

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