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今日でエリオット・スミスが亡くなってちょうど10年だそうです。


 ♫ A Distorted Reality Is Now A Necessity To Be Free



「エリオット・スミスのベスト・ソング TOP10」を米サイトConsequence of Soundが発表 - amass
http://amass.jp/30100
こんな記事が更新されておりまして、僕の選ぶベスト10とは全然かぶりませんが良い選曲だなぁと思いました。

特に上に貼った「A Distorted Reality」。サビの美しいメロディ、コーラスとキャリア後期特有のサイケデリックさが折衷された素敵な曲だと思います。
歌詞の冒頭数行を読むとすぐにドラッグの歌だとわかるんですが、 SongMeanings にしっくり来る解釈があったので紹介します。ここでいうドラッグとは抗鬱剤のことなんだそうです。 A Distorted Reality、「歪められた現実」とは心のありようが抗鬱剤で変えられてしまった世界のことで、歌詞に出てくる「The devil's script sells you / The heart of a blackbird」というのが「心を歪めてしまう薬」の処方箋を出すさまを暗示しているというわけです。そういう歪んだ世界、歪められた現実を自由にしよう、と歌っている曲です。

でも、これって結局自分のダメさに目を背けて「こんなのは僕の本当の心じゃない、僕の現実はこんなんじゃない」っていう愚痴、世迷い言に過ぎないんですよね。で、僕はこの人の弱さ、どうしようもなさというものが具現化した曲こそがこれなんだなと思って、だからこそ好きな曲なんです。

エリオット・スミスの音楽を聴きたくなるのって、どうしようもなく落ち込んでいたり自己嫌悪していたりするときで、そういうときって、自分と同じように現実逃避して世の中にグチグチ不平を言っている彼の音楽がダイレクトに染みてくるんですよね。「自分よりダメな奴がいる」という安堵なのか、「同じようにつらい奴がいる」という共感なのか、あるいは他の何か、もしくはそれぞれの感情が入り混じったものなのか。よくわかんないけど。
ただし、こういうときの音楽の作用というのは「癒される」とか「勇気づけられる」とか「元気になる」では決してなくて、「救われる」っていう抽象的な言葉以外しっくりこないんですよね。他の音楽、例えばリバティーンズやディアハンターに救われた気持ちになることももちろんあるのですが、単にテンションを上げたいから聴くときもあって、でもエリオット・スミスを聴くのは救われたいときだけ。だからエリオット・スミスの音楽は僕にとって純度100%の救済の音楽なんです。


百万回も言われてることですが、CoSの言葉をもう一度借りれば、
"We came to terms with a simple truth: For us, Elliott Smith occupied a space that no other musician could ever fill."
これに尽きます。何か意味不明なことをつらつらと書いてきましたが、とりあえず1つだけ確かなのは、これから先も、どうしようもなく辛い時はエリオット・スミスを聴くんだろうなということです。ありがとう。

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