さて、前回の続きです。今回は20位~11位まで。

<前回はこちら>
 30 Best Albums of 2013 [30-21]
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◆20. Mark Kozelek & Desertshore “Mark Kozelek & Desertshore” [Caldo Verde]
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 元 Red House Painters の Mark Kozelek が、これまた元 RHP のギタリスト/キーボーディストらによるコラボ作。後期 RHP 復活と言っても過言ではないメンバーが再結集ですね。
 すっかりアコギ弾き語りおじさんと化していた近年のマークの超普通なフォークと、後期 RHP 直系のスロウコア的ソングライティングとが上手く折衷された好盤といえます。今年のマークはカバーアルバム・ライブアルバム・The Album Leaf とのコラボアルバムと本作含め4枚のリリースがありますが、その中でも最も曲が良く書けていたのはこれでした。加えて、やはり RHP の魅力の半分はエレキギターにあった訳でして、それが遺憾なく発揮されているのがスロウコア好き的にはポイント高かったです。

 ♫ Mariette


◆19. Darkside “Psychic” [Matador / Other People]
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 チリ生まれの神童 Nicolas Jaar と、ブルックリンのマルチ・インストゥルメンタリスト/プロデューサーの Dave Harrington によるユニット、Darkside によるファーストアルバム。
  一昨年「Space Is Only Noise」で超頭良さそうなエレクトロニカの地平を切り開いたニコラス・ジャーですが、その頃はちょっとその知性に僕の耳が追いつかず「???」ってなってました。が、本作はその知性の香りを纏ったまま劇的にダンサブルに、そしてポップになったアルバムだと思います。リズムと非リズムが快楽原則に則り理知的に構成された最高な一枚。ライブ音源になると良さ倍増なので、以下にはセッション動画を貼っておきます。

 ♫ Paper Trails


◆18. Obnox “Corrupt Free Enterprise” [12XU]
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 米オハイオ州クリーブランドにて90年台からアンダーグラウンドに活動を続けていた、Bin Thomasという人のソロプロジェクト。かつては The Bassholes や Puffy Areolas などのガレージ・パンク・バンドで活動していたようで、オハイオ・パンクシーンではそれなりにベテランとして通っているようです。
 Iceageが鋭利な刃物だとしたらこちらは鈍器のようなノイズ・パンク。やり過ぎなくらいノイジーなサウンドにまず目が行きますが、意外にも曲の引き出しは広く、R&B やヒップホップ、ジャズなどのブラックミュージックの影響を色濃く感じることができます。



◆17. Primal Scream “More Light” [First International]
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 いまだ現役のロックおじさんたちの最新作。今までの集大成的なサウンドで、かつまだまだ現役感を失わない完成度には敬意を払わざるをえない(多少ボーカルが弱いのは目をつむって)。
 正直もう何も言及することが思いつかないのですが、マイブラの『Loveless』→『mbv』までの22年に対して、ボビー・ギレスピーが「Movin On Up」から「It's OK, It's Alright」までの22年でやって来たことの膨大さを思うと、本当に、心からカッコいいなあと思ってしまったのでした。

 ♫ It's Alright, It's Ok


◆16. Fire! Orchestra “Exit!” [Rune Grammofon]
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 フリー・ジャズ・ユニット、Fire! のメンバーを核としたエクスペリメンタル・ジャズ・オーケストラ。非常に聴き疲れのするやかましい音楽ですが、ドロドロの禁忌に触れるゾクゾク感は他に替えの効かない圧がありました。ラスト数分は音量注意の大絶叫です。

 ♫ Part 1

◆15. The Strokes “Comedown Machine” [RCA]
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 もはや「One Way Trigger」のシンセがやっぱりダサいくらいしか言うことがないんですが、これ、曲は抜群に良いんだからアコギの弾き語りで聴きたいな~とか思いつつも、それをやらないところがストロークスのストロークスたるゆえんで。21世紀に音楽を聴き始めた我々にとって、ロックバンドって何なのか、どうあるべきなのか、それを全部教えてくれたストロークスがそこにいた、という感じでした。
 メロディへのリリックの乗せ方がジュリアンらしいままで安心したし、これからも解散しないでのんびり定期的にアルバムを出し続けてほしいなあと思いました。
 
 ♫ All The Time
 

◆14. Baths “Obsidian” [Anticon]
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 カリフォルニアのエレクトロニック・ミュージシャン、Will Wiesenfeld による3rdアルバム。2年前に一度だけライブを見たことがあったのですが過去作未聴で、ほぼ前情報なしで聴いたところ音の綺麗さにズバッとやられました。
 アルバムタイトルの「Obsidian」とは黒曜石の意で、僕なんかはすぐ初代ロマンシング・サガのオブシダンソードを思い浮かべちゃうんですが、どうやら本作は中二病っぽいアルバムだと世間でも認知されているようで、僕の連想もあながち的外れじゃなかったなと思いました。

 ♫ Miasma Sky


◆13. Paula “Relaxed Fit” [Arbutus]
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 TOPS や Silly Kissers というバンドで活動していた David Carriere という人のソロ・プロジェクト。聴いて即去年のアリエル・ピンクを思い出しましたが、実はこのアルバムは2011年にデジタルでリリースされていたものをフィジカルで再発したものらしく、順序が逆でした。ちなみに本作は Bandcamp から name your price でDL可能です。
 NW臭マシマシのローファイ・シンセ・ポップで、「Totally Nice」や「Black Acura」あたりはそれぞれ今年のベスト・トラック候補にしたいくらいだし、「Susan & Linda」なんてこれアリエルがパクってそうな気までしてくる。

 ♫ Black Acura


◆12. Eluvium “Nightmare Ending” [Temporary Residence]
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 アメリカはテネシー州出身の Matthew Cooper によるソロユニット。再生数の8割は寝る時に流してた分なので後半の曲ほとんど覚えてませんけど、今年イチの綺麗なポスト・クラシカル。シンセ/ギターのドローンにほんの少し重なるピアノやストリングスが美しすぎてすぐ寝てしまう。

 ♫ Don't Get Any Closer


◆11. The Heliocentrics “13 Degrees Of Reality” [Now Again]
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 ロンドンで結成されたサイケデリック・フリー・ジャズ/ファンクバンドの2ndアルバム。
 Sun Ra→Ras Gと違ってスペーシーな感覚よりはむしろ、密室的なクールさに痺れる音楽。Interlude を挟んで起伏をしっかり設けて豊かな展開をみせながら、「ここが退屈だな」という瞬間をついに作らないまま最後のアウトロまで駆け抜けてしまうタフさがありました。今年の僕が好んで聴いた音楽を1枚に集約したアルバムがあるとすれば、最も近いのはコレだと思う。
 ちなみに、Amazon や iTunes にインポートしたときの表記は「13 Degrees From Reality」となっていますが、正確にはアートワークに書いてある通り「13 Degrees Of Reality」なので注意。


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 さて、残るはベスト10ですね。年内にはUPします。

<続きはこちら>
 

 
Obnox の「Corrupt Free Enterprise」のみ Amazon で見つけられなかったので、iTunes Store のリンクを貼っておきます。

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