もう2月も半ばってときにまだ去年の振り返りか、という気もしますけど。
 もともと音楽に限らず適当に日記を書こうと始めたブログなので、2015年の僕にとって音楽より大きなウェイトを占めていた映画鑑賞記録もまとめておこうと思います。ちゃんと数えてないけど音楽の方は新旧合わせてアルバム150枚くらい聴いて、それに対して映画は300本以上観たので。うち映画館に足を運んだのが1割弱で、ほとんどがDVD/BDあるいはBS/CSでやってたやつを録画して観ました。というわけで後述のランキングの力点は旧作のほうにあります。
 Filmarksという映画専門SNSのヘビーユーザーになりまして、アプリの使い勝手には大変満足しており(他のアプリと比べたわけではないですが)、最近はツイッターよりこっちをよく見ているくらいの感じになっております。もともと映画にはまったく疎かったので、「とりあえず質より量」で観ています。で、傲慢にもFilmarks でスコアを付け、何か無理矢理にでもコメントをひねり出して記録するようにしております。

 無意味な前置きはこれくらいにして、そんなわけですので、2015年に観た映画を好きな順に並べてみました。新作・旧作それぞれ10本ずつ選んでいます。「新作」の定義は適当なので、なんとなく2015年公開の映画っていう感じです。「旧作」は、「新作」でないその他の映画のうち、2015年に初めて観たものに限定してます。



まず「新作」ベスト10。カウントアップ方式で。

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1. 『はじまりのうた』――「最近映画が大好きになった人」が作るランキングの1位に「音楽が好きでたまりません」という映画を選ぶのは、「音楽をつくることの物語」それ自体がとても魅力的なものなのだ、ということを確認するからです。(監督:ジョン・カーニー/原題:Begin Again)
2. 『ウォーリアー』――スポーツを見て感動するのは筋書きのないドラマだからだと思っていたけど、フィクションがこれだけの熱量と感動を生み出せるのだから、そういうことじゃないんだろうなと。「最後に愛が勝つ」みたいな、言葉にしちゃえば陳腐な話を画面いっぱいのエネルギーで涙に変えてしまうのが映画なのかもしれないな、と思いました。 (監督:ギャヴィン・オコナー/原題:Warrior)
3. 『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』――最初から最後まで作家の挑戦的なドヤ顔を受け止めながら、負けじとのめり込むように観ました。(監督:アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ/原題:Birdman or (The Unexpected Virtue of Ignorance))
4. 『攻殻機動隊 新劇場版』――『ARISE』シリーズをこんなに綺麗に締めてもらって間隙でした。Corneliusの劇伴も素晴らしく、劇場で観られて本当に良かった。(監督:野村和也/総監督:黄瀬和哉)
5. 『あん』――樹木希林がこの世にいてよかった。(監督:河瀨直美)
6. 『ジュラシック・ワールド』――良くも悪くもお約束の楽しさでした。 大作に求めるすべてがあって、本当にワクワクしたので、2回劇場に足を運びました。(監督:コリン・トレボロウ/原題:Jurassic World)
7. 『クリード チャンプを継ぐ男』――度の過ぎた過去シリーズへのオマージュはすべて最終ラウンドのために! 男が戦 わねばならない理由とはなんだろうか、と考えたとき、この映画は僕にとってひとつのベストアンサーだった。男は戦うために戦うのだ。これがロッキーだ! 泣く! (監督:ライアン・クーグラー/原題:Creed)
8. 『イーダ』――モノクロームの修道女が自分自身の人生を生きること。 (監督:パヴェウ・パヴリコフスキ/原題:Ida)
9. 『Mommy/マミー』――インスタグラムみたいなアス比そして例のワンダーウォールの演出にもすっげーシラケてしまったんですが、それを差し引いても、傑作。(監督:グザヴィエ・ドラン/原題:Mommy)
10. 『インヒアレント・ヴァイス』――PTA作品では一番ふつうに楽しめた。(監督:ポール・トーマス・アンダーソン/原題:Inherent Vice)



 ここからは、2015年に初めて観た「旧作映画」ベスト10。カウントダウン方式で。

10. 『世界最速のインディアン』――アンソニー・ホプキンス演じる実在のスピード狂、バート・マンローが、ニュージーランドから遙かアメリカのスピードレースに出場するロードムービー。好々爺の名優がスポーツノンフィクション的な題材でロードムービーをやるんだから好きな要素しかない。(監督:ロジャー・ドナルドソン/原題:The World's Fastest Indian) 
9. 『クロワッサンで朝食を』――どう見たらこれが「実話を元にした感動のストーリー」になるのかわからないけど(仮にほんとうに「実話を元に」しているのだとしたら悪意しか感じない)、バーバリーのコートをはじめとする無数のアイテムの象徴的な扱われ方が感動的だったのは間違いない。(監督: イルマル・ラーグ/原題:Une Estonienne a Paris)
8. 『ブレードランナー』――いまさらこんな古典を堂々とランキングに入れるのは恥でしかないのですが、いやあ、隅から隅まで攻殻機動隊の元ネタだらけでびっくりしました。(監督:リドリー・スコット/原題: Blade Runner)
7. 『道』――いまさらこんな古典を堂々とランキングに入れるのは恥でしかないのですが(2)、名作も名作で大感動でした。特にコメント無し。(監督:フェデリコ・フェリーニ/原題:La Strada)
6. 『山椒大夫』――いまさらこんな(略)、しかも森鴎外の原作も未読という無教養ぶりなのですが、これがきっかけで溝口健二にハマりました。ひいては日本映画のクラシックに興味を持つきっかけになりました。この映画の重要な2つのカットに登場する2つの水辺の美しさと、溝口を特徴づける長回しの完璧な組み合わせに静かに衝撃を受けた。(監督:溝口健二)
5. 『アンダーグラウンド』――3時間という長尺の最初から最後までとんでもない熱量とイマジネーションがねじ込まれていてとにかく圧倒された。ラストはフェリーニの『8 1/2』を髣髴とさせるカタルシス。クストリッツァ特集上映、行ってみたい……! (監督:エミール・クストリッツァ/原題:Underground)
4. 『ある戦慄』――ニューヨークの地下鉄に、泥酔した二人の若者が乗り込んでくる……それがまさかこんな恐怖映画になるとは。恐るべき人物配置の巧妙さ。町山智浩さんの「トラウマ映画館」で紹介されていたので観てみたら、本気のトラウマ映画になった。まさかこの年齢で映画に新たなトラウマを貰うとは思わなかった。まさか、まさか、まさか……。(監督:ラリー・ピアース/原題:The Incident)
3. 『レスラー』――大好きな曲が思わぬタイミングで映画中に流れる、それは音楽ファン冥利につきる体験のひとつですが、この映画におけるガンズ・アンド・ローゼスほど完璧なものはない、そう言い切ってしまいたい。(監督:ダーレン・アロノフスキー/原題:The Wrestler)
2. 『穴』――2015年に僕がハマった二人の映画作家、一人は溝口健二でもう一人はジャック・ベッケルです。溝口(の代表作)には女性の受難を冷徹に描くリアリズムの視点が一貫していますが、ベッケルの映画はひとつひとつ味わいを異にするように思います。なかでもこれは大傑作。古今東西、脱獄映画にハズレ無し。(監督:ジャック・ベッケル/原題:Le Trou)
1. 『ストップ・メイキング・センス』――国内盤BDリリースでようやく観た、トーキング・ヘッズのライヴ映画。『The Name of This Band Is Talking Heads』(個人的オールタイム・ベスト・アルバムのひとつ)期のキレッキレなバンド・サウンドの「サイコ・キラー」が最高すぎると思っていたのですが、いざこちらのバージョンの同曲を映像付きで観てしまうと考えを改めざるをえない。(監督:ジョナサン・デミ/原題:Stop Making Sense)
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 熱が続く限り今年も映画はいっぱい観たいと思います。 

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