3年連続3回めの参加となったフジロックの感想をまとめておこうかと思います。今年も楽しかったー!




◆7/22 (Fri.)
 今年は前夜祭からではなく、金曜の早朝に自宅を出発。GREEN STAGE1組目のBoredomsがお目当てのため眠い目をこすりながら車を運転していきました。
 入場ゲートを通過するとすでにEYEの奇声が聞こえていてヤバかった。メカニズムというか回路はさっぱりわかんないけど、何かたくさんの金属片(フォークとか食器とか?)で異種パーカッションのインプロヴィゼーションを繰り広げていた。ボアダムスのライブを観るのは初めてだったんだけど、きっと毎回が一期一会なんだろうなあ。

 RED MARQUEEにてTrashcan Sinatrasのライブの冒頭だけ観たり、グリーンに戻ってBiffy Clyroのモッシュピットに突っ込んだりしつつ(「Bubbles」のときのサークルモッシュ楽しかった)、WHITE STAGEに到着してKOHHを観る。
 地元の友達をステージにガンガン上げてまさに「レペゼン」する様はマイルドヤンキー然としているけど、それが演出としてガッチリこっちに届く感じ、完全に未体験のものだった。「天気がいいし良い気分なので薬物の曲やります」。ワンフレーズでゴリっとヤバイところまで届く。カニエ・ウェストのライブとか観たら同じような気分になるんだろうか?とか思ってしまった。

 その後はご飯を食べたり、去年は乗れなかったゴンドラに乗ったりしてしばらくのんびり。
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 去年のベスト飯だった渡なべの油そば(左上)は今年も絶品だった。旧オレンジコートに新たに誕生した屋根付きフードコート、ORANGE CAFEにも早速足を運び、珍しいから食べてみようということで鱧茶漬けを頼んでみた(左下)。さっぱりとして非常に上品な味だったけど、野外フェスで食べるにはインパクトが弱いかなという気も。量も少ないしね。

 マーキーにてCourtney Barnett。 Daydreamingでチンタラしてたら到着前にライブが始まってしまい、しかも一番好きな「Dead Fox」を森の向こうから聴く羽目になってしまって、かなりがっかりする。しかも後半はThe Internetと被ってるから途中離脱。不完全燃焼もいいところなので、絶対にまたちゃんとライブを観たい。レフティのギターがカッコいいのは想定内だったけど、音程を崩しまくったあの歌い方があんなにハマってるとは思わなかった。ズバリ、今年見たボブ・ディランのライブよりずっと良かった。笑
 で、The Internetを観にホワイトへ。 こっちはこっちでフロントマンの女性がもうありったけカッコいい。シルキーな声も立ち姿のクールさもふとした瞬間のキュートさも完全無欠でずっと見惚れていた。全体的に音量が控えめだったけど、そのおかげで個々の楽器がすごくシャープに聞こえて気持ちよかった。コートニーとシド・ザ・キッド、この3日間で最も苦しいタイムテーブル被りだった。

 この時間帯まで雨も降らないのにほとんど暑くもなく、砂埃が多少気になる以外は最高に快適な気候だったのですが、その分日が暮れてから一気に体感気温が低下。グリーンに戻ってからJames Blakeなのですが、寒さのせいであまり集中できず。シンガーとして成長著しいともっぱらの評判のJBですが、個人的には初期のダブステップ曲がめちゃくちゃカッコよかった。おかででヘヴンにリー・ペリーを観に行く隙がなかった。
 この日のトリはSigur Ros。観るのは以前のサマソニから4年ぶりなんだけど、寒さがピークに達してほとんど震えてた記憶しかない……。うーむ、勿体無い。

 最後は去年のルーキーでのライブが素晴らしかったD.A.N.を観に深夜のマーキーへ。あ、そうそう、先日更新した上半期ベスト記事に彼らのアルバムを完全に入れ忘れてました(あとデヴィッド・ボウイも)。ライブは実際素晴らしかったんだけど、なんだか去年観た時より音が良くなかったような気がした。




◆7/23 (Sat.)
 この日も天気は◯。そして、昨日より暑い。とりあえず屋根の下や木陰に避難しつつ、今年初のボードウォークを通ってヘヴンへ(道中、木道亭でザ・なつやすみバンドのリハが観られてラッキー)。Mark Ernestus' Ndagga Rhythm Forthを観る。 民族楽器系のパーカッションを多用した人力テクノといった感じの、まさにフジロックのワールド系アクトといった楽しいライブだった。手足が異常に細長いキレッキレの女性ダンサーが客席に向かってキャンディーをバラ撒いてて、僕も一つゲットできた。笑
 このとき、過去2年間で食べそこねていたさくらぐみのピザを食べることに成功! これが本当に絶品だった。焼きたて10秒のモチモチ生地の甘みとトマトの酸味、これは長時間待っても食べる価値があるなと思った。今年食べたもので一番美味しかったのこれかもしれない(右下)。
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 2日目の出演者の中でもかなり楽しみにしていたのがThe Album Leaf。これが期待を裏切らない美しいパフォーマンスで、暑い夏を吹き飛ばすような清涼感あるエレクトロニカに癒された。最初は「明るい時間のマーキーかあ」なんて思っていたけど、今年のレッドマーキーは音がかなり良かったと思う。

 当初はその後ヘブンまで行きROVOを観るつもりだったけど、人の多さと暑さのため断念。グリーンで大盛り上がりのMAN WITH A MISSIONを座って観ながらジャスミンタイのチキンバジル(写真失念)を食べ、その後ホワイトにて在日ファンクを観る。彼らを観るのは4〜5年ぶりかな? ほとんど冗談しか言ってないMC含めて最高に楽しいステージ。予定より5分くらい早く終わっちゃったのはちょっと残念だったけど、初期の曲から最新曲まで織り交ぜたセットリストには満足。

 その後再びグリーンに戻りTravisを眺めながら、この日のお目当てWilcoまで英気を養う。モッシュピット内で開演待機してたけど思ったほど混み合うでもなく快適に観られた。3曲めにやってくれた「I'm Trying To Break Your Heart」でもう幸せのピークに達してしまって、土埃でやられてかわっかわに乾いてた眼がかなり潤ってしまった。ますます丸く大きくなってるジェフの満足そうな笑顔に乗せて皆で歌うのは本当に楽しかった。と思いきや始まる「Art Of Almost」のクラウト・ロックな時間もまた幸せ。この日は「Spiders (Kidsmoke)」や「Impossible Germany」もやったし、長尺のジャム・ソングが沢山聴けて嬉しかった。その分持ち時間の少なさが残念だったけど(当初のセットリストでは「The Late Greats」「I'm A Wheel」もやるはずだったみたい)。
 何だかんだ言って最高だったのはやっぱり「Via Chicago」でしょうか。あの滅茶苦茶なアレンジであんなに泣ける理由がいまだにさっぱりわからない。
 

 最後はそのままグリーンにてBeck! ライブを観るのは初めてなので、万全の体調で観るべくトイレに向かったのが……失敗だった。とんでもない行列になっててライブ前半の30分をまるまる見逃すという失態!「Devil's Haircut」も「Loser」も見逃した! ようやくグリーンに戻れたときには(個人的にあんまり好きではない)『Sea Change』『Morning Phase』あたりの曲のモードになっていてかなり悔しい思いをした。
 というわけでかなり不完全燃焼ではあったものの、ヘッドライナーとしての格と演出・持ち時間の優位性をすべてフル活用した集大成的ステージを披露してくれたベックをこの夏のベスト・アクトに選ぶ人が多いのも納得です。 特に最後に「E-Pro」でガッチリと数万人の観客を掴んでみせ、一旦ステージを去ったあと白いセットアップにお色直しまでして出てきたアンコールで、プリンスやボウイのカバーという流れは本当にどうかしてくるくらい最高だった。

 その後はKula Shakerを観にレッドに行ったものの超満員のためほとんど何も見えず。「Hey Dude」の音漏れを聞きながら食べた五平餅はおいしかったなあ。五平餅は300円の割に食いでがあっておすすめですよ。
 さっさと帰っちゃってもよかったのですが、この日は深夜の富士映劇にて『デヴィッド・ボウイ・イズ』の上映があったので、とりあえずホワイトに移動。Squarepusherの最後をちょっとだけ観られた。アンコールでベースを手にしてからがめちゃくちゃカッコ良かった。
 さて、フジロックに来てまで映画かよという気もしないではないけど、屋外で映画を観る機会というのもなかなか無いし楽しかったです。ただ夜はやはり相当に寒くてつらかった。それでも、東京と大阪の一部でしか上映していなかったものだし、我慢して観てよかったと思っています。




◆7/24 (Sun.)
 最終日もこれまた好天。いい加減一度くらい雨が降ってくれてもいいのに、と思いつつ(なにせ乾燥しっぱなしなので土埃がすごい)、このバンドにはこの晴天がよく似合うザ・なつやすみバンド。 アヴァロンでライブをちゃんと観るのは何だかんだ初めてでした。メンバー結構多いなと思ったらサポートが入っていたよう。ろくに音源聴いたことなかったわりに楽しめた。朝なので牛乳を飲みながら観たのもまた良かった気がする。
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 一瞬だけホワイトにてBo Ningenのライブを観たけどこりゃやっぱかっこいいなと。去年香港で観た時も最高だったけど、これはまたきちんと観たいなと思った。

 その後、何気に楽しみにしていたdCprGを観にヘブンへ! 日差しがとんでもないことになっててムチャクチャ暑かったけど、これまた素晴らしいライブ。アディダス?の黒のセットアップに身を包んだ菊地成孔氏、暑そう。何がどうなってこんなすごいライブになってるのかはさっぱりわかんないけど、何かすごいことが起こってる! というエネルギーを受け取ることだけは出来た。ポリリズムに全然ついていけなくてぎこちなく踊ってたところで最後の「Hard Core Peace」のホーン・セクションが最高だった。もっと深い時間で2時間くらい見たかった。

 この日はチケットがソールドアウトということもあってすごい客入りだったんだけど、最初から「今日はヘブンとホワイトの往復でやりすごすぞ」と決めていたのでスケジュール的にはかなり余裕。ホワイトにてDeafheavenの轟音と土埃が織りなすハーモニーを眺めたり、ヘブンでカレーの行列に並びながらはちみつぱいの思ったよりサイケでヒッピーなライブに耳を傾けたり、疲れたらオレンジのテントの下で寝っ転んだり。
 BABYMETALのTシャツを着てる人も目立つ中、ホワイトにRobert Glasper Experimentを観に行ったんだけど、これはちょっと僕のリテラシー不足かなー。3日目の蓄積した疲れもあってあんまりノれないまま観るのやめてヘブンに帰っちゃった。BABYMETALを観てみたい気持ちもあったけど、大混雑にちょっと心がくじけてしまってヘブンにてErnest Langrin & Friendsへ。cero高城氏が普通に観客としてレゲエで踊ってるのを観られたのは何となくラッキーだったし、実際とてもいいライブで、カッコよかった。レゲエ慣れしていない僕でも楽しめたのはアーネスト・ラングリンがギタリストだからだと思う。リズム楽器としてギターが機能するときのサウンドの気持ちよさって懸けがえのないものだなあと感じた。今年はジャズとレゲエが熱かったんじゃないかな。このとき食べたラムチョップが激ウマだったんだけどちょっと値段が高かった(フジロック20周年ということで増量中だったのは嬉しかったけど)。
 オレンジカフェにて休憩してから、ヘブンの大トリKamasi Washingtonを観た。裏でやってるExplosions in the Skyも観たかったし、何だかんだレッチリも観てみたかったので、カマシのライブがどんな感じか確かめて移動するつもりでいたのですが、90分間すっかり釘付けにされてしまう素晴らしいライブだった。最初に「Change of the Guard」が始まった瞬間からとんでもない熱量とグルーヴで、こりゃただのジャズじゃない、ブラックミュージックの魂そのものだ、なんて門外漢なりに思った(3月にD'Angeloを観たときと同種の感動だったけど、それを上回ってた)。最初の2曲が「バンド」として圧倒的なアンサンブルだったのに対して、それ以降は各プレイヤーのソロにも焦点を当てながらひたすら踊らせ続ける熱すぎるステージ。夜のフィールドオブヘブンのミラーボールって本当に最高だなあ。他のステージに移動するなんて考えは全く浮かばないまま、あっという間に終わってしまった体験だった。

 マーキーのcero×VIDEOTAPEMUSICとホワイトのBattlesのどちらをきちんと見るか迷ってるうち、Red Hot Chili Peppersがやってるグリーンに到着してしまった。向かってる途中に森の向こうから一番聴きたかった「Otherside」が聴こえ、到着したら早速、次に聴きたかった「Californication」をやってくれたので、満足してすぐホワイトにトンボ帰り。頭からバトルスを観ました。早いうちから「Ice Cream」をやってくれて嬉しかったし、3人であの幾何学的なグルーヴをリアルタイムで構築していくのを観るのは何というか大道芸的な面白さも感じられて、去年香港で一度観てることも忘れて新鮮に楽しめた。そしてラストにやると思ってた「Atlas」が中盤で早速投入されるとホワイトの盛り上がりも最高潮に。ただしこの時のボーカルサンプリングがなぜか完全にズレててガタガタになってたのが残念だった。あれわざとじゃないよね? バトルスは結構ああいうライブでのトチりも多い気がする。笑 
 何にせよ、聴きたかった曲も結構聴けたし意外に移動もスムーズに行きそうだったので、マーキーにceroを観に向かう。到着するとすでにライブは終盤だったけど、ちょうど一番好きな「わたしのすがた」をやってるところだったのでラッキー。そのすぐ後には必殺の「contemporary tokyo cruise」。この日のCTCは中盤のインプロがすごくエモくてカッコよかったなあ。

 ceroで締めてもよかったんだけど、クロージング・アクトが電気グルーヴなら観ない手はない。歩き回って踊りまわってもうヘトヘトなのでほとんど座って観てたけど、以前グリーンで観たときよりさらに最高だった! 涙出てくるぐらい楽しかった。最後に「富士山」やって終わりかなーと思ってた帰っちゃったんだけど、その後アンコールで「Shangri-la」と「虹」やったって後で知ってめちゃくちゃ後悔した。笑




 今年のフジロックも終わっちゃったけど、やっぱ死ぬほど楽しかった。ここに書いてないけどいろんな人とはしゃいだ思い出もたくさんあるし、帰りに食べたへぎそばも相変わらず美味かった。来年もまた行けたらいいな。
 ベスト・アクトはWilcodCprGKamasi Washingtonで迷うところだけど、シチュエーションとか持ち時間とか考えるとやっぱりカマシかな。隔年くらいで出てヘブンのトリの常連になってほしい。ベスト飯はさくらぐみのマルゲリータorオアシスで食べた鶏タルタルご飯。 ではでは!

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